ファイバーによる超音波組織画像

概要

従来の光学顕微鏡で細胞の性状を観察する際には染色の作業を必要とし、 手術中にその場では確認することが出来ない。 本研究で使用している超音波による組織画像は、細胞による超音波の減衰情報により 画像を描画するため、染色の作業を必要としない。 また、細径ファイバーを用いることにより生体内で直接細胞の情報を得ること目指している。 そのため、医師が手術中にある部位がガンなどの細胞であるかを直ちに検査可能となり、医療の進歩に大きく貢献できるものと考えている。

原理

超音波画像はCモード画像と呼ばれる画像で、従来の超音波診断装置で用いられてるBモード画像(断層像)とは異なり、 光学顕微鏡を同じように組織を上から見た画像となる。Cモード画像を得るためにはファイバーを走査することにより各走査点において、 超音波の受信エコーの強度が組織内の性状により変化することを利用する。 この組織内の性状の違いを描画することで超音波画像を得ている。 また、従来の超音波画像診断装置では、使用している周波数は3〜10MHz程度であるが、 本研究では100MHz〜200MHz程度の高い周波数の超音波を用いることで、高い分解能を得ることが可能となっている。 また、従来では困難とされていた細径のファイバーに高周波超音波を伝搬させることに成功し、 さらにファイバーの先端を凹面状に加工することで超音波を集束させ方位分可能を細胞レベルにまで高めている。

成果

本研究の成果として、現在までに生体外での実験においては、生体組織画像を得ることが可能となっており、 光学顕微鏡との比較を行い、光学顕微鏡に対して超音波画像の優位点を検討している。